計画:日本の中世建築
◇東大寺南大門(1199)
奈良時代に創建された門の再建です。
二重の門で、外観は2層に見えますが、2階建てではなく、通し柱として上の屋根を支え、下の屋根を側部につけています。
天井は吹抜けで、屋根材が見える化粧屋根裏となっています。
大仏様(天竺様)の代表例で、柱と貫を用いているなど、シンプルな架構が特徴的です。
◇厳島神社(1241)
宮島の海浜に位置した神社です。
自然の美しさと人間が作り出した建築の美しさが相まった建築です。
神体山とする宮島の弥山を祀るために作られたとされています。
社殿や高舞台、能舞台などが回廊で繋がっていて、本殿は身舎の前後に庇のついた両流造の形式をしています。
◇吉備津神社(1425)
現存している社殿は、1425年に再建されたものです。
本殿と拝殿があり、屋根でつながっています。
屋根が特徴的で、入母屋造りの屋根が2つ並んでいて、これを比翼入母屋造と言います。
建物基礎部には、土を盛り、漆喰で固めた亀腹と呼ばれるものが作られています。
◇鹿苑寺(1398)
足利義満が造営した山荘で、北山殿と呼ばれています。
北山殿とは、北山文化の代表とされています。
北山文化とは、室町時代初期の文化で、武家と公家文化の融合とも言われていて、能楽の観阿弥、世阿弥、水墨画などが有名です。
最上層を禅宗様仏堂風、第二層に和様仏堂風、初層に住宅風の建築様式を用いています。
◇慈照寺(15世紀後半)
写真は観音殿で、2階は禅宗様の持仏堂風、1階は住宅風の建築様式を用いています。
ちなみに持仏堂とは、個人が日常的に礼拝するための私的な堂のことをいいます。
慈照寺の東求堂には、同仁斎と呼ばれる4畳半の部屋があり、付書院や違い棚が作られていて、茶室の起源と言われています。
付書院には障子があり、障子を開けるとその先には美しい風景が広がっていて、開口部は風景を切り取り、まるで掛け軸のように感じられます。
◇円覚寺舎利殿(15世紀前半)
舎利殿とは、釈迦の遺骨を祀った建物のことをいいます。
裳階と呼ばれる庇のようなものが取り付いています。
2層に見えますが1層で、禅宗様の典型の建物です。
ちなみに禅宗様とは、禅宗寺院に用いられている様式で、鎌倉時代に中国から禅宗とともに伝わってきたと言われています。
建物の特徴としては、
・屋根が激しく沿っている
・扇垂木を用いている
・窓・出入口に花頭(火打)曲線を持つ
・柱間に組物を多く詰めて並べる詰組
・海老のように曲がった海老虹梁を使用している
・板を鏡のように平面に並べた平天井である鏡天井になっている
が上げられます。